脳卒中の外科
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症  例
術前に出血源の特定が困難であった後交通動脈解離性動脈瘤の1例
岩田 卓士相原 徳孝大野 貴之柴田 広海石田 宗紀正覺 美沙
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2025 年 53 巻 5 号 p. 346-351

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抄録

術前検査で診断が困難で,顕微鏡下の手術所見で後交通動脈解離によるくも膜下出血(SAH)と判明した1例を経験したので報告する.

69歳,男性.突然の頭痛と嘔吐を発症し,当院へ救急搬送された.CT血管造影検査にて右中大脳動脈分岐部に2mm大の動脈瘤を認めた.CT上の血腫の分布が右優位であり,脳血管撮影も行ったが,他に出血源となる病変が特定できなかったので,破裂瘤と判断して動脈瘤頚部クリッピング術を施行した.術中所見では,右中大脳動脈瘤は血腫と癒着しておらず,全周性に剝離するも瘤壁が破綻した所見はなかった.血腫を除去しながら近位へと検索したところ,内頚動脈周囲に血腫が多く,後交通動脈の血管壁に薄い血腫と癒着が認められ,後交通動脈自体の解離性動脈瘤破裂によるSAHと判明した.解離部から穿通枝の分岐があったため,クリップによる処置は困難であり動脈瘤包皮術を施行した.術後MRIでは,虚血性変化なく経過し,mRS 1まで回復した.顕微鏡下に出血源の特定ができることは開頭手術にとって有利な点であり,本症例において良好な治療経過に寄与したと考えられる.

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