抄録
国際規格IEC 61508の動向と組込み製品の普及に伴って、機能安全と組込みソフトに関する国内での関心が大きくなっており、国内での認証製品も徐々に増えている。しかし、機能安全は概念的に目新しいこともあり、現場での教育・普及啓発活動が重要とされている。また、長期的視野からも、ハードウェアとソフトウェアが複雑に絡んだ組込みシステムの機能安全に関する基礎知識を持ったエンジニアを育てることは大変重要なことである。一方で、この機能安全規格は、ソフトウェアに関しては1970年代の技術背景をひきずっているため、大規模・複雑化した組込みソフト開発の指標とするには困難が伴い、また、最新のソフトウェア技術を利用する際にも対応する規格が無いといった問題を生じる。
このような背景から、産業界の実務や大学での教育カリキュラムとして役立つ安全・安心の教育コースの構築が期待されており、2007年より機能安全規格の調査研究を開始し、今年度、その調査に基づいた教育コースの開発を行った。