2011 年 7 巻 4 号 p. 183-187
近年、機能安全規格 IEC 61508、ISO 26262に代表されるように、安全に対する説明責任が課されている。今までは「正しい製品」を作ることが安全性を証明する手段だったが、システムが極めて複雑化しており、完璧な製品を作ることは難しくなっている。今後は製品に問題があった場合にも同様に、企業として十分な努力をしたか、言い換えると「正しい方法」で作ったかを説明・証明することが求められ、第三者による検証や、より精緻な品質の監査が必要となる。このソフトウェア品質監査で最も重要になるのがトレーサビリティである。本稿では、トレーサビリティを実現するためのオープンな「ツールプラットフォーム」を提供する「TERAS」について、本号と29号(予定)の2回にわたり解説する。今回はトレーサビリティの概要についてふれ、次回はその詳細と実証評価の状況を説明する。