Second Language
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研究論文
Processability Theory (PT)を用いた形態素と統語構造の習得の分析:特別集中日本語コースに参加した英語を母国語とする成人学習者の場合
岩崎 順子
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2013 年 12 巻 p. 21-42

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抄録

本稿ではオーストラリアで日本語特別集中コースに参加していた成人学習者1名の第二言語としての日本語 (JSL)の習得過程を縦断的に分析し報告する。特に,この学習者の発話における形態素と統語構造の出現順序が一連の言語処理可能性理論1(Processability Theory(以下PT): Pienemann, 1998; Pienemann, Di Biase & Kawaguchi, 2005)で予測された普遍的発達階層に沿うかどうかを検証することが目的であった。調査参加者は調査開始前に日本語学習経験のなかった33歳のオーストラリア人男性で,1年で約900時間,教師との一対一の日本語の授業を受けた。コースの一貫として設けた一般日本人話者との会話セッションで録音した発話資料から,動詞の語尾変化,V-てV構造,受け身/使役/受益文,規範文,非規範文を取り出し,分析した。分布分析の結果によると,それらの文法項目の出現順序は原型PTと拡大PTで予測された順序と一致した。

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© 2013 日本第二言語習得学会
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