Second Language
Online ISSN : 2187-0047
Print ISSN : 1347-278X
ISSN-L : 1347-278X
論考
論考:分散形態論が照らし出す三人称単数現在-sの変異性の多層的原因
若林 茂則穂苅 友洋秋本 隆之木村 崇是
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 17 巻 p. 51-84

詳細
抄録

本論考では,第二言語学習者の文法形態素に見られる変異性がなぜ起こるかという問いに対する解答の提案を試みる. (非常に習得が進んでいる場合でも) 第二言語学習者にとって屈折形態素の使用が難しい―特に屈折が起こるべき場所で原形を使用してしまうような誤りをする―のはなぜかという問いに対し,第二言語習得研究では,ほぼ20年に亘りひとつの正しい答え (特定の原因) を見出そうとしてきた.Wakabayashi (2013) では,この問いの立て方は誤りであり,原因は多層的だと主張した.本論文では,分散形態論 (Halle & Marantz, 1993) の枠組みを用い,Wakabayashi (2013) の考察をさらに一段と「分析的な」方法で推し進め,第二言語の変異性がレキシコンにおける列挙,形態統語操作,語彙挿入,および言語操作後のパフォーマンスに多層的に存在することを示す.

著者関連情報
© 2018 日本第二言語習得学会
前の記事
feedback
Top