2023 年 22 巻 p. 53-67
本研究は, 未知語の意味処理と形式処理という2タイプの処理が, 第二言語(L2)日本語読解を用いた付随的語彙学習に及ぼす影響を検討した.外国語環境における中級レベルの日本語専攻生78名を, 「第一言語(L1)意味記述」群, 「平仮名表記記述」群, 「読解のみ」の統制群に分け, 内容理解を目的に読解を行った.読解直後, L1-L2対訳テストと語形認識テストを行い, 目標語8語の学習効果を測定した.その結果, L1-L2対訳テストでは「L1意味記述」と「平仮名表記記述」の両方とも学習を同程度に促進させた.また語形認識テストでは「L1意味記述」よりも, 「平仮名表記記述」の方が学習を促進させた.