抄録
本稿の目的は, 第二言語のライティングにおけるモダリティ使用が, 明示的な教示によりどのような影響を受けるかを実験的なアプローチを用いて調べることである.明示的な教示により, 法動詞, 法副詞, (モダリティの要素を含む) 動詞等, hedgesの使用が, 促進されるという実験報告がある (Wishnoff, 1999).本稿は, 「モダリティ表現のhedgesとしての機能に加え, aggravationとしての機能も明示的な教示によって習得されるか」, という点も実験の目的に加えて, これまでの先行研究に新たな視点を加えようと試みる.実験の参加者は大学でESLのライティングコースを取っている留学生で, ある学期中の2週間の期間をつかって実験を行った.実験グループとコントロールグループのライティングを実験後に比較すると, 実験グループのモダリティ使用がコントロールグループを上回っており, その差は有意差であった.しかし, 教示の影響がどの程度の期間持続するか, またどのような教示法がより有効かという点はこれからの研究に委ねられる.