抄録
本研究では物理探査法と環境科学的手法を組み合わせてクィーンズランド州南西部の、Goondoola盆地の二次塩化の原因を調査した。
地表および地下の物質と地下水についての情報に加えて、一連のエアボーン電磁・放射線探査および地表での電磁探査データを取得した。放射線探査と標高のデータとサンプルで測定された物性の間から導かれた関係から、地表の物質分布と塩分涵養の可能性の予測地図が作成された。地下水中への塩分の主な涵養源は堆積盆周辺の風化した基盤岩中にあることが推定された。地下構造と表層風化層中の塩分貯留域の定量的把握には、土壌と孔井の測定とともに、エアボーン・地表・孔井の電磁探査データが使用された。
一般に、電気伝導度は土壌中の塩分分布をよく反映する。一方、塩分含有量が比較的一定な風化層深部においては、エアボーン電磁探査の信号は孔隙率の変化と岩質の違いに影響されるという特徴を持つ。そのため、エアボーン電磁探査データを用いて、風化域の水平分布図を描くことが可能となる。
この地域の塩害化は表層風化層の構造に強い影響を受け、局所的あるいは中規模区域のプロセスで生ずることが確認された。地表データと地下データのこうした結合によって、地下水面の上昇に伴う塩害が広がりそうな地形を認知できるようになった。この結果は、今後特に過度な塩分の涵養と移動塩を防ぐための管理計画の整備に利用される。