2006 年 59 巻 3 号 p. 249-259
東部南海トラフ海域の熊野海盆北縁部における三次元地震探査データの詳細解釈を実施した。本報告では,海底面下160 m 程度の浅層部における解釈結果を紹介する。海底面直下に 2 つの形状タイプの海底扇状地が分布しており,一方は円状かつ比較的小規模であり,他方は海盆の大部分を覆う大規模のものである。このような 2 種類の海底扇状地を含む堆積サイクルが最低 3 回繰り返されている。この堆積サイクルは周期的なもので,1 サイクルあたり数十ミリ秒の層厚を有しており,海水準変動との関連が示唆される。また,各サイクルにおいて,海底扇状地やチャネルの分布パターンが異なっており,上流側斜面の形状や海底谷の変化がそれらのパターン形成に影響していると考えられる。