抄録
琵琶湖地域の深部地盤構造モデルの高精度化を目的として, 小規模微動探査を実施した。底辺長が100mおよび200mの4点アレイを琵琶湖周辺の6つのK-NET観測点の近傍に展開した。得られたデータから周期0.17秒から1秒のレイリー波の位相速度を求めた。この位相速度と地震記録のS波主要動, Sコーダ部分のH/Vスペクトルを用いたS波速度構造の同時逆解析により, 深部地盤構造モデルを推定した。得られたモデルは, 既存の物理探査データやK-NET観測点の浅部のPS検層結果と矛盾が無いことを確認した。さらに, このモデルは経験的サイト増幅特性のピーク周期を良く説明できることがわかった。本研究で提案した手法は, 物理探査データが乏しく, S波速度構造に関する情報が少ない中小規模の盆地や平野でも地震動予測のための深部地盤モデルの構築へ適用が可能であると期待される。