物理探査
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論文
誘電分散を伴う土質試料の比誘電率と体積含水率の関係
鈴木 敬一
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2011 年 64 巻 3 号 p. 177-186

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抄録
 地中レーダ探査によって得られた電磁波速度から比誘電率を求めることができる。比誘電率は体積含水率と関係があり, Toppの式(Topp et al., 1980)として知られている。Toppの式は, TDR法として土壌の体積含水率を簡便に測定する方法として広く適用されているが, 体積含水率が50%以下の土質試料とガラスビーズの実測値によって決定されたものである。そのため体積含水率の高い場合に適用するには注意が必要である。
 含水状態の媒質の電磁波速度には周波数依存性 (誘電分散)があることが知られているが, Toppの式は周波数依存性に関しては議論されていない。
 本研究は, 体積含水率の高い領域 (90%まで)のデータについて測定を行い, 周波数依存性を考慮した体積含水率と比誘電率の関係を示した。この関係は, Wobscahll(1977)による準誘電分散モデル(‘semi-disperse model')と整合する結果である。その成果は, 地中レーダ探査による体積含水率を高精度で求めるための新たな指標になると考えられる。
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© 2011 社団法人 物理探査学会
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