物理探査
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論文
合成開口ソナーを用いた海底熱水噴出域のマッピング
澤 隆雄笠谷 貴史八木原 寛
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2011 年 64 巻 4 号 p. 279-289

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抄録
 音波を用いた水中でのリモートセンシング装置であるソナーは, 日本では魚群探知機として広く普及しており, また海底地形の作成において必須の装置である。合成開口ソナーは従来のソナーより何十倍も性能が高く, 近年の資源問題への関心の高まりから海洋資源探査等への活用が期待されている。
 筆者らは熱水噴出域等での海底探査を見据え, 中性浮力曳航体に合成開口ソナーを搭載した探査システムを開発した。このシステムに搭載する合成開口ソナーは指向性の広い音波を送信し, ソナーの動揺に合わせて電気的に受信アレイの指向性を変更し, 受信アレイを安定させる。また信号処理過程においてsinc関数のピーク値を高速に演算する手法を用いて, 100倍以上高速に処理を実行できる。中性浮力曳航体は浮力材を用いることで水中重量を0kgとし, かつ曳航索の途中にデプレッサ (おもり)を取り付けることで母船動揺による曳航索の張力変動を吸収し, 曳航体の姿勢を安定させる。曳航索にはイーサネット線が入っており, 生のソナーデータを母船に送信する事が可能で, ソナー画像を確認しながらソナーに設定変更の指示を送る事ができる。このシステムを筆者らは「響竜」と名付けた。
 この「響竜」を用いて2010年10月, 鹿児島湾北部の若尊カルデラ内の熱水噴出域の探査を実施した。約7km2の海底面を探査した結果, これまでの潜航調査で確認された範囲よりも広範囲に熱水噴出域が存在している事が確認された。サツマハオリムシの生息域であるマウンドの部分では, 熱水噴出に伴って立ち上るフィラメント状の音波反射を明瞭に捉え, 付近に露岩や生物生息域と考えられる地形を検出することができた。またカルデラ最深部である約200mの海底では, 熱水兆候を伴う海底の起伏に加え, 熱水噴出兆候がみられない箇所にも過去の熱水噴出域とも考えられる地形を多数確認した。
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© 2011 社団法人 物理探査学会
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