抄録
本稿では,非在来型天然ガスに特有な吸着ガスについて解説し,物理探査による探査の可能性について言及する。コールベッドメタンの主たる賦存形態は吸着ガスであり,シェールガスの約半分も吸着ガスの形態で貯留していると考えられている。試料分析の結果,女川層の珪質頁岩は北米のシェールガス賦存層と同等のガス吸着能力を有し,南関東天然ガス田の泥岩も十分なガス吸着能力を有している可能性を示した。世界全体における吸着ガスの資源量は大きく,有望な天然ガス資源である。吸着ガスの回収には,遊離ガスに比べより長期間に及ぶ継続した生産が必要なため,初期段階において開発リスクを低減させるガス生産量推移の推定技術が重要である。そのため,物理探査による埋蔵量や生産性の評価手法は天然ガス資源量の増大に貢献する。吸着ガスを生産対象ガスとするためには,ガス吸着量分布の情報が重要である。現在,ガス吸着可能量を直接推定する探査技術は提示されていない。一方,物理検層による間接的なガス吸着量の推定手法は様々な手法が提案されている。