2017 年 70 巻 p. 25-34
2011年3月11日に平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震が発生し,多くの被害が発生した。東京湾岸や利根川下流域では広範囲にわたって,液状化の被害を受けた。本研究では,利根川下流域にあたる千葉県香取市の利根川北岸地域で表面波探査を実施し,地下約30 mまでのS波速度(Vs)構造を求めた。その結果,調査領域の地下は,比較的高速度のVsを持つ砂質表層,低速度のシルト質層,高速度の砂質基盤層の三層に区分されることがわかった。
求められたVs分布を用いて,調査領域の地下1.5 mが平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震時の揺れにあった場合,液状化するかどうかについて検討を行った。その結果,調査領域ではほとんどの領域で液状化が発生しないことが推測された。また,液状化が発生すると推定された領域は,地表踏査結果や明治時代に水圏であった領域と良い一致を示した。これらの結果より,Vsを利用した地盤の液状化に対する強度の推定は有用な手法であることが示された。