2019 年 72 巻 p. 111-121
トンネル工事に伴う物理探査では屈折法弾性波探査が通常実施されている。その探査深度は深部探査が期待できるダイナマイトを震源に用いる場合でも200 m程度である。一方,資源探査に利用される時間領域電磁探査法(TDEM法)は数100 m以上の探査深度を有するとされている。そこで,土被りの大きなトンネル調査へのTDEM法の適用性を検討するために,土被りが200 mを超える2本のトンネルに対して工事前に実施された屈折法弾性波探査とTDEM法の結果を,実際のトンネル掘削結果と比較した。また,膨潤性地山ではCEC値が上昇することにより比抵抗値が小さくなると考えられることから,TDEM法の低比抵抗層に対する解析の信頼性について,実際のトンネル調査及び数値シミュレーションで検証した。その結果,屈折法弾性波探査では探査困難な土被り200 mを超えるトンネルに対して,TDEM法は地層境界の抽出に有効であり,かつ低比抵抗層の下にある,さらに低比抵抗を示す高い膨潤性の地層を識別できることが判明した。