物理探査
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論文
岩手県葛根田地熱地域における自然地震とバイブレータ振源を組み合わせた反射法地震探査:超臨界地熱貯留層に由来する反射面を捉えた国内初事例の可能性
岡本 京祐今西 和俊石橋 琢也青栁 直樹鈴木 陽大浅沼 宏藤澤 萌人青木 直史
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2024 年 77 巻 p. 24-39

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抄録

 本研究対象の岩手県葛根田地熱地域を始めとした複数の地域において,地下数kmの浅部にマグマ由来の流体が上昇し,超臨界地熱貯留層(マグマ由来の地熱流体等により構成される非在来型の地熱貯留層)を形成している可能性が指摘されており,開発地域の有力候補の一つとなっている。一方で,地質学,地球化学等の観点からの検討に基づけば,超臨界地熱貯留層の存在可能性が高いことは指摘されているものの,MT探査以外では,物理探査学的観点からの超臨界地熱貯留層の直接的な証拠は見つかっていない。本研究では,葛根田地熱地域における微小地震観測,および自然地震・人工振源を用いた反射法地震探査に基づいて,超臨界地熱貯留層のイメージングを試みた。また,イメージングで得られた反射イベントの信頼性を評価するために,実際に使用した震源・振源・受振点と,得られた反射イベント等を模擬した数値モデルに基づくシミュレーション(波線追跡)を行い,疑似的に反射記録を合成した。これを用いて,P波の多重反射やPS変換波等に起因して発生し得る偽像の影響を検証することで,得られた反射イベントの信頼性評価を行った。その結果,反射法地震探査に基づく手法としては国内で初めて,超臨界地熱貯留層の上面境界に対応し得る反射イベントの検出に成功した可能性が高いことが分かった。

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© 2024 社団法人 物理探査学会
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