物理探査
Online ISSN : 1881-4824
Print ISSN : 0912-7984
ISSN-L : 0912-7984
解説
Madagascarソフトウェアで提供されている重合前深度マイグレーションについて ― Sigsbee2aモデルへの適用を通じた留意点のまとめ及び各手法の比較 ―
天野 博
著者情報
ジャーナル 認証あり

2024 年 77 巻 p. 1-14

詳細
抄録

 Madagascarで提供されている各種の重合前深度マイグレーション(PreSDM)に係るソフトウェアを,岩塩が発達する複雑な地下構造を数値モデル化したSigsbee2aモデルについて,汎用パソコンを用いて適用し,同ソフトウェアの使用上の留意点をまとめると供に,各手法の比較検討を行った。現時点のMadagascarでは,ray theoryをベースとしたPreSDM及びone-way approachのwave theoryをベースとしたPreSDMを稼働させるスクリプトが公開されていることから,これらを使用した。また,今般,JOGMECが参加している「米国コロラド鉱山大学が主催するCWPコンソーシアム」に依頼して作成した「two-way approachのwave theoryをベースとしたReverse Time Migration(RTM)法に基づくSigsbee2aモデル用のスクリプト」を用いて同様の比較検討を行った。近年の傾向として,複雑な地下構造に対するイメージングについて,RTM法が最適とされるケースが多くなっているが,昨今のray theoryやone-way approachのwave theoryをベースとしたPreSDMの技術革新により,RTM法と比較して大きな遜色の無い結果が得られる場合があることを確認した。また,RTM法については,顕著な低周波数ノイズが発生することから,そうしたノイズの抑制に加えて,多大な計算時間の削減が望まれることも併せて確認した。なお,本稿に示した各PreSDMでは,真の速度を平滑化して作成された速度モデルを使用した。

著者関連情報
© 2024 社団法人 物理探査学会
feedback
Top