非日本語母語話者が発声した日本語音声の自然性に関わる音響特徴を明らかにすることを目的とし,日本語,中国語(台湾語),韓国語,タイ語,ベトナム語, フランス語を母語とする話者各10名が発声した日本語単語を,日本語母語話者22名に呈示し,発声の正誤判定および自然性の5段階評価を行わせた。発声が正しいと判断された単語の各母音について,単語全体に対する相対時間長,相対強度, 相対基本周波数を求め,これらを独立変数とし,自然性評価値を従属変数とする重回帰分析を行ったところ,母語による相異はあるものの,語頭または語末の母音の相対時間長および相対基本周波数において標準偏回帰係数の絶対値が大きかった。従って非日本語母語話者が発声した日本語音声の自然性に相対時間長および相対基本周波数が関与していることが示唆される。