日本生気象学会雑誌
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シンポジウム:植物とヒトとのかかわり
自然と快適性
宮崎 良文
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2003 年 40 巻 1 号 p. 55-59

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抄録
自然は,日常生活の快適性の増進に寄与していることが経験的に知られている.人は,ヒトとなって500万年経過し,仮に産業革命以降を都市化,人工化と仮定した場合,その99.99%以上を自然環境下で過ごしてきたことになる.すべての人の生理機能は,自然環境中で進化し,自然環境用に作られている.そのような状況の中,人工環境下で生活する我々は常にストレス状態にあると考えられる.この論文の目的は,種々の自然由来の刺激が生理応答に及ぼす影響を明らかにすることである.生理指標としては,近赤外線分光分析法による脳(前頭前野)活動ならびに指先を用いた血圧,脈拍数を用い,毎秒測定を実施した.自然由来の刺激としては,スギ,ヒバ材のにおい物質,小川のせせらぎ音,森林浴風景等を用いた.その結果,これらの自然由来の刺激は血圧の低下と脳活動の鎮静化をもたらし,生理的に鎮静化した状態を作り出した.自然由来の刺激は,現在のストレス社会において積極的に鎮静的快適感をもたらすことが分かった.
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© 2003 日本生気象学会
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