日本生気象学会雑誌
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短報
炭酸泉下肢連浴の液性調節への作用
入來 正躬三枝 岳志
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2008 年 45 巻 4 号 p. 173-180

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抄録

本研究では,人工炭酸泉作成装置で作成した高濃度炭酸水(800~1000 ppm)への下肢浴の継続(以降,炭酸泉下肢連浴)が生体の液性調節に及ぼす作用について検討した.
短期入所療養介護施設利用者 5 名(男 1 名,女 4 名,平均年齢 87.4 ± 5.9 才)を被験者とし,週 2 回以上の炭酸泉下肢連浴を 3ヶ月間継続した.炭酸泉下肢連浴開始前,3 週間後,および 3ヶ月後に採血し,血液一般検査及び血液生化学検査を行った.(1)血液一般検査では,3 週間後に平均赤血球容積が有意に減少,平均赤血球ヘモグロビン濃度が有意に増加した.3ヶ月後には上記 2 項目に加えて赤血球数,ヘモグロビン濃度,及び血小板数が有意に増加した.(2)造血因子であるエリスロポエチンには有意の変化は認められず,血清鉄,フェリチンにも有意な変動は認められなかった.(3)血液生化学検査では 3ヶ月後に血清総蛋白とアルブミンの有意の増加,アルドステロンと K+ の有意の増加がみられた.
本データより,炭酸泉下肢浴の長期継続が,造血機能,蛋白代謝,水電解質代謝などの生体の液性調節に影響を与える可能性が示された.

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© 2008 日本生気象学会
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