この研究の目的は,中高齢者において夏季暑熱環境下で農作業を実施した際の体温調節反応について検討した.結果は以下に示す.
農作業時の心拍数は,若齢者に比較して中高齢者で有意に高かった.農作業時の体温上昇量は,若齢者に比較して中高齢者で有意に大きかった.農作業時の総発汗量は,若齢者に比較して中高齢者で有意に少なかった.農作業時の水分補給量は,若齢者に比較して中高齢者で有意に少なかった.農作業時の汗中塩分損失量および濃度は,若齢者に比較して中高齢者で有意に大きかった.
中高齢者は,熱中症の発症の危険性が高い体温調節反応を持続していることが明らかになった.このため,夏季の暑熱環境下農作業時において,熱中症予防対策として中高齢者は塩分を含む十分な水分補給をすることが不可欠である.