日本生気象学会雑誌
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総説
気候療法
大塚 吉則
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2012 年 49 巻 1 号 p. 5-10

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抄録

日常生活とは異なった気候環境に転地し,病気の治療や保養を行う自然療法を気候療法という.心身に作用する気候要素には,気温・湿度・風・気圧・日光そして森林内環境ではフィトンチッド(芳香性テルペン類)などがある.地形分類上は海岸,森林,平地,高山などがあり,それぞれ特色のある保養地気候を呈している.気候療法には,転地により有害な気候環境から心身を保護する作用と,新しい気候刺激に心身が反応して疾病の治癒や健康増進が促される作用とがある.気候療法の例としては,森林気候を利用した森林浴,山岳・高地気候で,標高差や勾配を利用して歩行運動を行う地形療法,海洋性気候の下で,寒さへの適応と運動を行うタラソテラピーなどが挙げられる.超高齢社会,ストレス社会の現代,気候療法を用いた健康増進,疾病治療などは幅広い適応があるためより一層の利用が望まれ,そのためには気候保養地の整備が必要である.

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© 2012 日本生気象学会
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