日本生気象学会雑誌
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原著
家事作業時の暑さ感と防暑行為に関する調査研究 その 2
―名古屋市近郊に立地する一戸建て既存住宅と高断熱住宅の比較―
松原 小夜子青山 真夕山田 愛巳
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キーワード: 住まい, 生活, 夏期, 防暑, 家事作業
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2012 年 49 巻 2 号 p. 71-82

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抄録

既存住宅と高断熱住宅の比較を念頭において,日常生活における自然な方法による防暑の工夫と各種家事作業時の防暑行為との関係を分析した結果,以下の知見を得た.1)防暑の工夫を 3 段階に類型化し,住宅区分との関係をみたところ,既存住宅では「工夫中」と「工夫高」が多く,高断熱住宅では「工夫中」と「工夫低」が多かった.2)高断熱住宅においても家事作業時の冷房利用はくつろぎ時に比べると少なく,冷房利用によって快適性を得ているとは限らないことがわかった.なお,高断熱住宅や,40 代以下の若い層では,光熱費節約のために冷房を控える傾向があった.3)両住宅区分ともに,家事作業時に「暑さで困る」との回答は半数を超え,困る家事は,「調理」「掃除機かけ」「アイロンかけ」であった.「掃除全体」では,「調理」を上回った.4)「工夫高」の人は,家事作業においても「窓開放」をはじめとする様々な防暑行為を取り入れているが,「工夫低」の人は,相対的に「冷房」が多い結果であった.5)「工夫低」「工夫中」の人も,自然な方法を用いた日常生活における防暑の工夫や家事作業時の防暑行為によって,家事作業時の暑さ感が緩和され,省エネルギーで,光熱費負担の少ない生活ができる可能性があると考察できる.

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© 2012 日本生気象学会
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