日本生気象学会雑誌
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原著
瀬戸内海東部の諸都市・島嶼部における夏季暑熱ストレスの地域性について
大橋 唯太鎌倉 正希
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2016 年 53 巻 4 号 p. 123-138

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抄録

本研究では,瀬戸内海東部地域を対象に,地理・地形的環境の違いが夏季暑熱ストレスの分布にどのような影響を及ぼすか,気温と 2 つの暑熱ストレス・インデックス(MDI と ESI)から調べた.2014 年の夏季に,内陸部,平野部,沿岸部,島嶼部にある 7 地域で気象観測を実施した.気温だけから暑熱ストレスを評価した場合,高温の出現頻度は内陸部,平野部,沿岸部,島嶼部の順に多かった.一方,湿度も考慮される MDI で評価した場合には,厳重警戒レベル以上の熱中症ハザードが平野部と沿岸部でも内陸部に匹敵する出現頻度となった.この原因には,海風のような湿潤空気の曝露が考えられた.MDI からさらに日射も考慮した ESI では,周囲の海域が広く雲の発生も少ない島嶼部や沿岸部の地域で,厳重警戒レベル以上のハザード出現頻度が顕著に増加し,熱中症リスクが高くなった.反対に内陸部では日射量の減少が影響し,MDI のときよりも厳重警戒レベル以上の出現頻度は減少した.

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© 2016 日本生気象学会
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