大気圧変化と安静時の生理指標の関係性を3つの観点から検討した.1気圧を基準にした高低で比較する(課題1),1週間の大気圧の高低で比較する(課題2),前日からの大気圧の下降,一定,上昇で比較する(課題3).健康な成人男性42名を対象に仰臥位安静の測定を行った.測定項目は,心拍数,心臓自律神経系調節,血圧,酸素摂取量とした.大気圧は広島気象台のデータを用いた.1気圧を基準に低気圧と高気圧条件とした(課題1).5hPa以上の変化があった17例を対象に低値条件と高値条件を設定した(課題2).前日からの大気圧変化が5hPa以上の下降,上昇と変化が5hPa未満の3条件とした(課題3).2条件間の生理指標に有意な差は観察されなかった(課題1).高値条件の拡張期血圧,酸素摂取量は低値条件に比較して有意な高値を示した.心拍数,ln HF,収縮期血圧に2条件間に有意な差は観察されなかった(課題2).心拍数,ln HF,拡張期血圧は3条件に有意な差が観察された(課題3).本研究の知見から,大気圧変化は安静時生理指標に有意な影響を及ぼすことが明らかになった.