日本生気象学会雑誌
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寒気曝露による寒冷血管反応に及ぼす運動鍛練の影響に関する研究
田中 信雄千賀 康利山田 薫堀 清記
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1987 年 24 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

寒気曝露による寒冷血管反応に及ぼす運動鍛練の効果を検討するために, 非運動鍛練者と運動鍛練者 (運動種目別) の寒冷血管反応を測定した.
被検者はいずれも男子大学生である.被検者のグループと人数は, 非運動鍛練者12名と運動鍛練者93名 (バレーボール16名, バスケットボール15名, 陸上長距離11名, 硬式野球10名, 卓球10名, 陸上投てき8名, ラグビー10名, ウエイトリフティング5名, 武道8名) である.実験は冬季の午後に実施した.被検者に室温約22度の環境下で約30分間座位にて安静をとらせた後, 左手を心臓の高さで水平位にして, -10度, 風速20cm/secの寒気に手首から先を30分間曝露した.曝露前5分から曝露中30分間および回復20分間の中指末節背部の皮膚温を, 銅コンスタンタン熱電対を用いて連続的に測定した.寒気曝露20~30分間の皮膚温を平均して平均皮膚温とした.身体計測は周育, 量育, 皮下脂肪厚および左手中指の指の長さと太さを実験後に測定した.
寒気曝露前の皮膚温が低いほど, 寒冷血管反応の発現までの時間が長く, 発現温度および平均皮膚温が低い傾向を示した.陸上の長距離と投てき選手およびラグビー選手は, 非運動鍛練者に比べて, 曝露前の皮膚温はわずかに低かったが, 曝露中の皮膚温はかなり高い値を示した.しかし, この差は有意ではなかった.武道選手の平均皮膚温は, すべてのグループの中でもっとも低かった.バレーボール選手の曝露前の皮膚温は非鍛練者より高かったが, 平均皮膚温は低い傾向を示した.平均皮膚温は, バレーボール選手では指の長さが長い者ほど, 低くなる傾向を示した.闘志型の体型をもつ運動種目, 戸外での練習が多い種目, 循環機能の鍛練が多い種目では, 曝露中の平均皮膚温が高かった.

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