日本生気象学会雑誌
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健常日本人の口腔温
入來 正躬土家 清金野 郁雄内野 欽司川島 美勝
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1988 年 25 巻 3 号 p. 163-171

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抄録
健常日本人の口腔温の正常値を得る目的で, 検温に際し少しでも異常な状況にあった1, 212名を除く1, 022名 (男性486名, 女性536名) について解析を行った. (1) 健常成人の口腔温は, 3分値, 36.68±0.35℃ (平均土標準偏差) , 5分値36.82±0.30℃, 7分値36.90±0.29℃, 10分値36.96±0.31℃であった. (2) 同じ被験者で10分以上測定した腋窩温の平均値は36.72±0.36℃であった.口腔検温での温度のよみとり値が安定値に達するまで長時間を要する原因は, 体温計自体が熱的平衡に達するまでに時間を必要とするためである.腋窩閉鎖後に腋窩の温度自体が長時間にわたり変化する腋窩検温の場合とは異なる.口腔温5分値と腋窩温10分以上値の差は0.14±0.36℃で口腔温の方が高い.しかし, 口腔温が腋窩温より低い場合も多かった.いろいろの条件を考慮すれば, 習慣的に用いられている口腔温5分値は, 実用上差し支えないと考えられよう.
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