知能と情報
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原著論文
コロナ禍におけるワクチンに対する人々の感情変化とその要因の分析
福田 悟志難波 英嗣庄司 裕子
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2022 年 34 巻 3 号 p. 592-600

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抄録

新型コロナウイルスワクチンの開発会社や政府は,人々にワクチン接種への安心感を与えるために,ワクチンの効果や接種状況といった情報を日々発信している.しかし,ワクチンに対する関心やワクチンの接種状況は国や地域によって様々であるため,必ずしも人々に安心を感じてもらえないことがある.本稿では,Twitter上に投稿されたツイートを解析し,人々が新型コロナウイルスワクチンに対して持つ感情とその感情が表れる要因を分析した.日本,米国,英国,カナダ,オーストラリア,インドの6カ国を対象とし,プルチックの感情の輪で定義されている8種類の感情に基づいた機械学習による感情分類,および係り受け解析とバースト検知手法によるテキスト解析アプローチを適用した.感情分類の結果において,人々が持つ一般的な感情として,日本では恐れ,米国,英国,カナダ,オーストラリアでは怒りと嫌悪,インドでは喜びが表れていた.また,感情の時系列的変化において,バースト検出された係り受け関係に基づいて,特定の感情が盛り上がった期間におけるツイートを分析したところ,多くのユーザによりワクチン関連のニュースが投稿されたこと,1人のユーザにより同一内容のツイートが大量に投稿されたこと,ワクチンに関する同一の出来事でも個人の状況に応じて異なる感情が盛り上がる場合があるといったいくつかの特徴を発見した.

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© 2022 日本知能情報ファジィ学会
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