日本生気象学会雑誌
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静脈麻酔薬の概日リズムに及ぼす影響
吉田 典子
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1989 年 26 巻 1 号 p. 29-39

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抄録

Sprague-Dawley系成熟盲目雄ラット (3~9か月齢) を用いて, 睡眠 (徐波睡眠・逆説睡眠) , 輪回し行動の概日リズムを7~10日間観察し, freerunすることを確認した後, ketamine, diazepam, pentobarbital sodium投与の影響を検討した.
ketamineとdiazepamは, リズムの位相に変化がみられ, 投与時刻によって位相の前進あるいは遅延が見られた.しかし, その変化は異なり, diazepamではリズムの振幅, 周期には変化がみられなかったのに対し, ketamineでは超日周期を示した.このことから, ketamineとdiazepamは, 概日リズムのoscillatorのひとつと考えられている視交叉上核 (SCN) に直接, あるいは間接的に, 概日リズム形成の中枢機序に変化を与えているものと思われる.一方, pentobarbital sodiumは, 投与後一両日リズム振幅の減少が観察されるのみでリズムの位相, 周期に変化がみられなかった.

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