日本生気象学会雑誌
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異なる波長の赤外線の持続照射による体温変化と発汗応答
菅屋 潤壹小川 徳雄大西 範和夏目 恵子落合 めぐみ今井 一乃山下 由果今村 律子
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1990 年 27 巻 2 号 p. 83-90

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抄録

6名の男子学生に, 室温31~34℃, 湿度40%の環境下で, ピーク波長1.3μmの近赤外, 3.5μmの中間赤外, 波長域3~25μmの遠赤外の, 3種のヒーターを用い, 有効放射温度9.0と12.5℃で, 躯幹部背面に赤外線を60分間連続に照射した.どの種類の赤外線でも, 深部温は照射開始後1分以内に上昇し始め, 照射中上昇し続けた.発汗量は照射部, 非照射部とも照射開始からほぼ3分間は急増し, 以後いったん横這いとなるかやや減少したのちゆっくり増加したが, 増加は40~50分で緩やかとなった.照射による深部温の上昇量, 発汗量の立上がり速度, 最大発汗量などに照射赤外線の種類による有意な差は認められなかった.したがって, 今回の照射条件では, 体温変化や発汗応答の波長による差はないと結論された.照射条件によっては, 赤外線は波長によらず, 照射開始直後から全身発汗を効率よく誘発する.

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