日本生気象学会雑誌
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生体リズムからみた温泉療法
矢永 尚士
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1992 年 29 巻 1 号 p. 11-14

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抄録

高血圧, 動脈硬化などの成人病の発症には不適切な食事・運動習慣, 社会生活からくる精神ストレスが関与している.これらの成人病では乱れた生活リズムが生体リズムの異常を起こすと考えられる.温泉療法は, 一定期間, 生体に規則的な好ましい刺激を与えることであり乱れた生体リズムの回復を助ける.最近, 一過性心筋虚血, 心筋梗塞, 急死, 脳梗塞の発症は, 午前6時から正午に好発時刻が存在することが明らかにされている.早朝の入浴にさいしては, 心筋虚血不整脈などの出現に特に注意が必要である.成人病が内因性リズムを有することの証明は困難であるが, 外から好ましい刺激を与えることによって事故の危険を減らさせることは充分予想される.温泉療法は成人病における生体リズム異常に対する意義ある自然療法である.

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