日本生気象学会雑誌
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腋窩検温法の検討と口腔検温法との比較
相原 まり子入來 正躬
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キーワード: 検温, 腋窩温, 口腔温, 血流量
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1993 年 30 巻 4 号 p. 159-168

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抄録

I.腋窩温について検討した.腋窩温10分値の平均値と標準偏差は, 36.67±0.36℃ (n=827) であった.左右差は認められなかった.しかし腋窩には温度勾配があり, 閉鎖30分後においても, 部位による有意差が認められた.個人差も大きかった.従って, 点として測定した値は再現性に乏しく, 平均的な温度を測定しうる水銀体温計のような体温計で測定することが必要と考えられる.II.口腔温について検討した.口腔温5分値の平均値と標準偏差は, 36.96±0.28℃ (n=242) であった.口腔内にも温度勾配が存在し, 舌下に最高温部があった.舌下であれば左側, 中央, 右側で有意差はなく, この部での測定が, 望まれる.III.口腔検温と腋窩検温を比較した.口腔温の方が腋窩温より有意に高かった.口腟の血流量は腋窩の血流量より有意に多かったことから, 口腔温の方が腋窩温より, 腔閉鎖後早く平衡に達することが説明できる.
腋窩温, 口腔温とも正しく測定すれば, 核心温の指標として用いることができるが, 口腔温の方が短時間で測定できる点で優れている.

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