2004 年 11 巻 1 号 p. 1-5
ピンセットで採種したイチゴ種子の発芽特性を明らかにする目的で,イチゴ品種'さちのか','女峰'および 'アスカルビー'のピンセット採種種子とミキサー採種種子を用いて3種類の実験を行った.イチゴ品種'さちのか'と'女峰'は,ミキサー採種種子に比べてピンセット採種種子の発芽が早く,また揃いが良かった.しかし,'アスカルビー'は採種法の違いにかかわらず種子発芽率が10%以下であった.また,'さちのか'のミキサー採種種子は外見的には無傷なものでも,ピンセット採種種子に比べて著しく発芽が劣っていた.さらに,自殖および他殖した'さちのか'の種子発芽は90%以上であったが,'アスカルビー'では逆に発芽率が20から40%であった.これらの結果から,ミキサー採種種子に比べてピンセット採種種子は,種子が本来有する発芽機能を発現するものと考えられた.