本実験は,オクラ(Abelmoschus esculentus)の花芽分化に及ぼす日長の影響を明らかにするために行った.タイで収集した6系統と日本で栽培されている2品種を供試し,夏の初めと中間あるいは終わりの3時期を選び,自然日長(12.21〜14.26時間日長),短日(10時間の自然日長)と長日(自然日長を更に3μmol・m^<-2>・s^<-1>の蛍光灯で補光し、16時間日長とした)の条件下で栽培した.夏の始め,中間および終わりのどの時期においても,短日条件下においた系統HE022,HE035,HE045,HE047と'クリムソン・スパインレス'は,長日区と自然日長区より花芽を低節位に,また早く形成した.系統HE015とHE050は,日長条件あるいは栽培時期にかかわらず,花芽を同じ節位、同じ時期に形成した.'エメラルド'の花芽形成と日長条件との関係は,栽培時期でやや変動した.すべての系統と品種の花芽形成は,短日区においては連続して起こった.しかし,長日区における出らい後の栄養生長相への転換は,系統HE022,HE035,HE045,HE047と'クリムソン・スパインレス'だけでなく,系統HE050と'エメラルド'でも認められた.これらの結果から,系統HE022,HE035,HE045,HE047,HE050,'クリムソン・スパインレス'と'エメラルド'は花芽形成に対して短日性反応を示し,系統HE015は中性反応を示すと思われた.タイで収集した系統の多くは短日植物と思われた.
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