農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
11 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 柳 智博, 奥田 延幸, 高村 武二郎
    原稿種別: 本文
    2004 年 11 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    ピンセットで採種したイチゴ種子の発芽特性を明らかにする目的で,イチゴ品種'さちのか','女峰'および 'アスカルビー'のピンセット採種種子とミキサー採種種子を用いて3種類の実験を行った.イチゴ品種'さちのか'と'女峰'は,ミキサー採種種子に比べてピンセット採種種子の発芽が早く,また揃いが良かった.しかし,'アスカルビー'は採種法の違いにかかわらず種子発芽率が10%以下であった.また,'さちのか'のミキサー採種種子は外見的には無傷なものでも,ピンセット採種種子に比べて著しく発芽が劣っていた.さらに,自殖および他殖した'さちのか'の種子発芽は90%以上であったが,'アスカルビー'では逆に発芽率が20から40%であった.これらの結果から,ミキサー採種種子に比べてピンセット採種種子は,種子が本来有する発芽機能を発現するものと考えられた.
  • 山田 久也, 嶌田 晃, 平井 宏典
    原稿種別: 本文
    2004 年 11 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    タマネギ苗作り作業の平準化と貯蔵スペース削減を目的として,養土を充填したセルトレイにタマネギコート種子を播種し,覆土・かん水後に低温(2℃)・暗黒下で最長71日間貯蔵することを試みた.栽培試験を2シーズン繰り返した結果,いずれの貯蔵日数でも,全く貯蔵しないセルトレイと同様の育苗法を経て,全自動移植機による機械植えが可能であった.各貯蔵区とも,収穫した平均球重はおよそ250gで,貯蔵の有無や長短による差は認められなかった.さらに,10a当たりに換算すると,いずれも6tを上回る収量となり,収量にも貯蔵による影響はないと判断できた.また,仮に定植直前の苗で貯蔵したとすると,草丈から換算して1/3〜1/4の貯蔵スペースで済むため,この面からも本貯蔵法が有効であると言えた.今回は,秋播き,翌年春〜初夏収穫の作型について試験を行ったが,今後は,他の作型や品種への本法の適用について検討を進める.
  • マハムド ハック アブ ザファ, 谷口 憲治, 石田 章
    原稿種別: 本文
    2004 年 11 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    本稿では、バングラデシユを事例として、農民の教育水準が彼らの所得に及ぼす影響を解明することを目的とした。農村調査データを用いた計量分析の結果、農民の教育水準と稲作所得・農外所得との間には正の相関関係は見出されなかった。しかし、農民の教育水準が向上するにつれて稲作以外の農業所得(畜産や養殖等からの所得)が増加する傾向にあることから、結果的には農民への教育が総計としての農家所得の向上に一定の貢献をしたといえる。
  • 崔 源煥, 土肥 誠, 石束 宣明
    原稿種別: 本文
    2004 年 11 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    セル成型苗を100%健苗になるよう生産管理するためには,セルトレイから欠株や生育不良苗を床上とともに完全除去して健苗を補填することが必要である.本研究ではセルトレイ中の苗・床土の状態にかかわらず効率的に除去可能な吸引除去方式について検討した.不良苗除去の方法として一般に吸引除去方式が採用されている.このため,従来の密着型吸引方式の問題点を抽出し,吸引時の物理的特性や吸引除去率について検討した.さらに新たに挿入式のものを試作し,以下の結果が得られた.1)吸引除去は床土を吸い込むために十分な吸気が必要である.2)密着式では排水穴からの吸気のみで除去するので高い吸引圧力が必要であった.3)挿入式はセルトレイ壁面と吸引口の隙間から吸気して床土を効率的,高精度に除去できた.4)吸入口の上下運動を組み合わせることで表面が固まった床土でも除去可能となった.
  • 藤本 順子, 栂野 康行, 伊藤 憲弘
    原稿種別: 本文
    2004 年 11 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    ブルーベリーの新梢先端葉クロロシスの発生原因とその対策を明らかにする目的で試験を行い,以下の結果を得た.クロロシスが発生した葉のマンガン含有率は,正常葉に比較し著しく低かった.また,株元土壌のpHはブルーベリーの好適pHより高く,交換性マンガン含量は低かった.再現試験により,土壌pHを上昇させると,確実に新梢先端葉のクロロシスが発生し,葉中マンガン含有率,土壌中交換性マンガン含量が低かった.以上のことから,新梢先端葉のクロロシスは,土壌pHが高くなった場合に交換性マンガン含量が低くなり,ブルーベリーヘのマンガン吸収が抑制されたために発生したマンガン欠乏症であると考えられた.新葉クロロシスの症状改善には,イオウ華を用いて土壌pHを下げることが効果的であることが明らかとなった.
  • リチチャイ パヌマート, 藤目 幸擴, スクプラカン スティーヴィー, 寺林 敏, 奥田 延幸, 伊達 修一
    原稿種別: 本文
    2004 年 11 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 2004/05/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    本実験は,オクラ(Abelmoschus esculentus)の花芽分化に及ぼす日長の影響を明らかにするために行った.タイで収集した6系統と日本で栽培されている2品種を供試し,夏の初めと中間あるいは終わりの3時期を選び,自然日長(12.21〜14.26時間日長),短日(10時間の自然日長)と長日(自然日長を更に3μmol・m^<-2>・s^<-1>の蛍光灯で補光し、16時間日長とした)の条件下で栽培した.夏の始め,中間および終わりのどの時期においても,短日条件下においた系統HE022,HE035,HE045,HE047と'クリムソン・スパインレス'は,長日区と自然日長区より花芽を低節位に,また早く形成した.系統HE015とHE050は,日長条件あるいは栽培時期にかかわらず,花芽を同じ節位、同じ時期に形成した.'エメラルド'の花芽形成と日長条件との関係は,栽培時期でやや変動した.すべての系統と品種の花芽形成は,短日区においては連続して起こった.しかし,長日区における出らい後の栄養生長相への転換は,系統HE022,HE035,HE045,HE047と'クリムソン・スパインレス'だけでなく,系統HE050と'エメラルド'でも認められた.これらの結果から,系統HE022,HE035,HE045,HE047,HE050,'クリムソン・スパインレス'と'エメラルド'は花芽形成に対して短日性反応を示し,系統HE015は中性反応を示すと思われた.タイで収集した系統の多くは短日植物と思われた.
feedback
Top