土壌生産性の圃場内変動が大きな水田において田畑輪換作付体系試験を行う場合の,水稲栽培における適切な窒素施肥量および輪作による水稲収量の変遷を評価する水稲の基準収量を明らかにすることを目的とした.水稲品種コシヒカリを2000年, 2001年,2002年および2003年にそれぞれ20kg,0kg,80kgおよび40kgN・ha^<-1>の施肥条件下で栽培し,収量および収量構成要素の圃場内変動を調査した.80kgN・ha-<-1>で栽培した2002年の収量および収量構成要素の全ての項目には有意差はなかったのに対し,他の3年次では1項目以上で有意差が認められた.また精玄米収量の変動係数も2002年が最小となった.以上のことより,本調査田において土壌生産性の圃場内変動による水稲収量への影響を最小とする施肥量は80kgN・ha^<-1>であり,この時得られた収量データを輪作開始後の土壌生産性の変遷に伴う水稲収量の変遷を評価する基準値となると考えられる.