農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
15 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 名越 時秀, 廣瀬 友二
    原稿種別: 本文
    2008 年 15 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    水稲の不耕起移植栽培において,緑肥として利用したレンゲが水稲の収量性に及ぼす影響並びに不耕起移植用ではない普通田植機による不耕起移植栽培の実用性を部分耕移植栽培と比較して検討した.すなわち,生育したレンゲを湛水下に放置しレンゲの上から不耕起移植した区,レンゲと雑草を除草剤で処理し部分耕移植した区およびレンゲを播種せず雑草を除草剤で処理し部分耕移植した区を設け,3年間継続試験をした.その結果,半量程度の基肥の減量であれば,経年的にレンゲの衰退が生じても3年程度の不耕起栽培の継続は可能であることが判った.さらに,移植時の苗の姿勢,欠株率および倒伏程度から判断して,不耕起移植専用でない田植機を用いた不耕起移植栽培の実用の可能性が示唆された.
  • ルンチャロントン ポンパイリン, 藤目 幸擴, 寺林 敏, 伊達 修一
    原稿種別: 本文
    2008 年 15 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    メキャベツの花芽形成に必要な低温要求量を調査した.5品種を供試し,6あるいは10週齢になった時から4℃で4あるいは6週間の低温処理を行った.処理期間中,植物は16時間日長の蛍光灯(PPFD 35μmol・m^<-2>・s^<-1>)の下で育てられた.'ファミリーセブン'は6週齢から6週間処理された時あるいは10週齢から4週間処理された時に出らいした.'クラスター','アーリーグリーン'と'早生子持ち'は6週齢から処理された時には出らいしなかったが,10週齢から4週間処理された時には出らいした.'子宝'は10週齢から6週間処理された時に出らいした.6週齢で処理された'ファミリーセブン'は10週齢から処理された時に比べ,低節位に早く花芽を形成し,10週齢で4あるいは6週間の低温処理をされた場合には,'ファミリーセブン','クラスター','アーリーグリーン'と'早生子持ち'の着花節位には差はなかった.以上の結果から,メキャベツの花芽形成には植物体春化型の低温要求性があり,その要求量には品種間差異のあることが明らかとなった.
  • 末吉 武志, 岩崎 浩一
    原稿種別: 本文
    2008 年 15 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    サトウキビ種苗生産装置開発の基礎資料を得ることを目的として,レーザーセンサを利用した選別方法の検討を行った.供試材料には節の葉や曲りの有無を考慮した5つのタイプの苗を使用した.円筒形シューターに80度の傾斜をつけて実験した結果,苗のタイプの違いに関わらず,レーザーセンサによって安定した苗の外形の測定が可能であった.その測定値を微分し,切断面の影響を受けない区間の値の標準偏差を閾値として判別を行なった結果,100%の高い精度で選別が可能であった.
  • 大西 政夫, 土本 浩之, 山根 研一, 門脇 正行
    原稿種別: 本文
    2008 年 15 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    土壌生産性の圃場内変動が大きな水田において田畑輪換作付体系試験を行う場合の,水稲栽培における適切な窒素施肥量および輪作による水稲収量の変遷を評価する水稲の基準収量を明らかにすることを目的とした.水稲品種コシヒカリを2000年, 2001年,2002年および2003年にそれぞれ20kg,0kg,80kgおよび40kgN・ha^<-1>の施肥条件下で栽培し,収量および収量構成要素の圃場内変動を調査した.80kgN・ha-<-1>で栽培した2002年の収量および収量構成要素の全ての項目には有意差はなかったのに対し,他の3年次では1項目以上で有意差が認められた.また精玄米収量の変動係数も2002年が最小となった.以上のことより,本調査田において土壌生産性の圃場内変動による水稲収量への影響を最小とする施肥量は80kgN・ha^<-1>であり,この時得られた収量データを輪作開始後の土壌生産性の変遷に伴う水稲収量の変遷を評価する基準値となると考えられる.
  • 小池 安比古, 大野 佳子
    原稿種別: 本文
    2008 年 15 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    シュッコンスイートピー'ピンクパール'の種子を用いて,発芽に及ぼす温度,光条件および発芽促進処理について調べた.15または20℃で発芽率が最も高く,30℃以上または10℃以下では著しく低くなった.20℃で光条件の影響をみたところ,明条件では発芽率がやや劣った.濃硫酸を用いて16分程度の浸漬処理すると,種子を置床してから発芽までの日数が無処理に比べて1/2程度に短縮された.濃硫酸処理後,水ポテンシャル-1.3Mpaのポリエチレングリコール溶液(PEG-6000)中で10℃・1週間処理した種子は,発芽困難な30℃以上の高温下でも8日以内に85%以上が発芽した.
  • 田 野飛, 坂巻 祥孝, 津田 勝男, 櫛下町 鉦敏
    原稿種別: 本文
    2008 年 15 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    鹿児島県薩摩半島南部の11地点で,2004〜2007年まで,野外および施設におけるマメハモグリバエおよびトマトハモグリバエの発生状況調査および寄主植物利用調査を行った.マメハモグリバエおよびトマトハモグリバエの寄主植物はそれぞれ15科63種および10科53種が記録された.利用される寄主植物種数は2〜4月に減少したものの,2種ハモグリバエはこの季節にも野外から得られ,本調査地域における野外越冬の可能性が示唆された.温室内調査では,マメハモグリバエがキクなど,花弁類と葉菜類を栽培している温室で優勢であり,トマトハモグリバエはウリ科植物や葉菜類の温室で優勢であった.ただし,ミニトマトを栽培する温室および雑草の多いキク栽培温室では,両種ハモグリバエは混発状態であった.これに対し,温室外調査では,キク栽培温室の周辺ではマメハモグリバエが優勢であった.トマトハモグリバエはウリ科植物や葉菜類,ミニトマトを栽培している温室の周辺で優勢であった.したがって,両種のいずれが優占するかは,適した寄主植物の存在に依存するものと判断された.さらに2004年の調査ではウリ科から見出せなかったマメハモグリバエが2005〜2006年の調査では継続的に発見され,調査年あるいは個体群の違いによる寄生状況の違いも認められることがあるものと推定された.
  • 上松 富夫
    原稿種別: 本文
    2008 年 15 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    花圈岩土壌を充填したポットにウンシュウミカン苗木を植え,ビニルハウス内に置き(雨よけ栽培),土壌の化学性に及ぼす液肥の施用効果を調査した.また,液肥の効果を3種類の固形肥料の施用効果と比較した.液肥として水溶性粉末複合肥料(窒素15%,リン酸15%,加里10%)の150倍液を用意した.液肥は樹上あるいは土壌から1回についてポット当たり231mL(1.39mmの雨量に相当),年間18回散布した.繰り返し液肥を散布すると土壌pHが低下した.液肥を施用すると,上層土の無機態窒素音量および置換性加里含量が固形肥料区よりも増加したが,置換性石灰と置換性苦土含量は減少した.液肥区上層土の有効態リン酸含量は3タイプの固形肥料区の間にあった.ポット試験の結果は,従来とは異なる施肥法が可能であることを示唆しているが,さらにウンシュウミカン園でのスプリンクラーシステムを用いた試験が必要である.
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