農業生産技術管理学会誌
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鹿児島県薩摩半島南部の野菜・花卉栽培温室内外におけるマメハモグリバエおよびトマトハモグリバエの種構成と寄主植物
田 野飛坂巻 祥孝津田 勝男櫛下町 鉦敏
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2008 年 15 巻 1 号 p. 35-43

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抄録

鹿児島県薩摩半島南部の11地点で,2004〜2007年まで,野外および施設におけるマメハモグリバエおよびトマトハモグリバエの発生状況調査および寄主植物利用調査を行った.マメハモグリバエおよびトマトハモグリバエの寄主植物はそれぞれ15科63種および10科53種が記録された.利用される寄主植物種数は2〜4月に減少したものの,2種ハモグリバエはこの季節にも野外から得られ,本調査地域における野外越冬の可能性が示唆された.温室内調査では,マメハモグリバエがキクなど,花弁類と葉菜類を栽培している温室で優勢であり,トマトハモグリバエはウリ科植物や葉菜類の温室で優勢であった.ただし,ミニトマトを栽培する温室および雑草の多いキク栽培温室では,両種ハモグリバエは混発状態であった.これに対し,温室外調査では,キク栽培温室の周辺ではマメハモグリバエが優勢であった.トマトハモグリバエはウリ科植物や葉菜類,ミニトマトを栽培している温室の周辺で優勢であった.したがって,両種のいずれが優占するかは,適した寄主植物の存在に依存するものと判断された.さらに2004年の調査ではウリ科から見出せなかったマメハモグリバエが2005〜2006年の調査では継続的に発見され,調査年あるいは個体群の違いによる寄生状況の違いも認められることがあるものと推定された.

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© 2008 農業生産技術管理学会
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