農業生産技術管理学会誌
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莢先熟状態の黒ダイズにおける収穫時期および摘葉処理が収量に及ぼす影響
土本 浩之大西 政夫門脇 正行伊田 圭佑岡田 憲章山根 研一
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2009 年 16 巻 1 号 p. 55-59

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抄録

莢先熟状態の黒ダイズ品種丹波黒における摘葉処理および収穫時期が収量に及ぼす影響を調査した.収穫日としては,2007年11月7日,11月16日,11月26日および12月3日(通常の成熟期)の4時期を設けた.摘葉処理としては,11月7日に摘葉し,収穫日まで立毛状態とした立毛時摘葉区,収穫直後に摘葉した乾燥時摘葉区,および無摘葉区の3区を設けた.収穫後,雨よけビニールハウス内で掛干しによる自然乾燥を行った.乾燥時摘葉区と立毛時摘葉区が同一処理である11月7日収穫を除き,立毛時摘葉区の収量及び精粒歩合は無摘葉区および乾燥時摘葉区より低くなる傾向が認められ,特に収穫時期が早いほどこの傾向は顕著であった.11月16日以前の収穫では無摘葉区は乾燥時摘葉区より収量が高くなる傾向が認められた.無摘葉区および乾燥時摘葉区では11月26日収穫まで,収穫時期が遅くなるにつれて収量,精粒歩合および精粒百粒重が大きくなる傾向が認められた.これらのことより,11月26日頃まで,葉身及び葉柄中の養分が子実へ転流しており,この転流は,立毛時だけでなく,収穫後の自然乾燥時にも生じている,いわゆる追熟,が生じていると考えられる.以上のことより,莢先熟状態に陥った黒ダイズにおいて,通常の収穫時期とほぼ同程度の精粒歩合,精粒百粒重および収量を達成しながら,乾燥期間を確保するためには,通常の収穫期より約20日〜10日前に収穫すればよいと考えられる.さらに通常の収穫期より約20日前に収穫する場合は,葉身や葉柄を残存させた状態で自然乾燥して追熟させる必要があると考えられる.

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© 2009 農業生産技術管理学会
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