2009 年 16 巻 1 号 p. 47-54
シュンギクの舌状花と筒状花について,各花器の発達過程の違いを明らかにするため,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて微細形態学的に観察した.シュンギクの花序の発達段階は11段階に、舌状花と筒状花の花芽発達はそれぞれ8段階に分けられた.舌状花の5本の雄ずいは筒状花の場合と同様に分化した.その後雄ずいの発達は停止し,やがて座止した.一方,筒状花の雄ずいは分化後、座止することなく発達を続け,花粉も形成された.舌状花の雄ずい基部では維管束の発達は認められず,一方筒状花の雄ずいでは5本の維管束がよく発達していた.舌状花の花冠全体は雌ずい分化期まではそろって伸長したが,その後3裂片だけがよく発達して,開花時には2cmに伸長した.一方,筒状花の花冠は全体が最後まで発達したが,開花時でも2-3mm程度にしか伸長しなかった.舌状花の花冠では約10本の維管束が発達していたが,筒状花の花冠では発達している維管束は5本であった.