農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
アーバスキュラー菌根菌及び非病原性フザリウム菌によるアスパラガス立枯病に対する全身誘導抵抗性及び抗酸化機能変動
Jia LIUYoh-ichi MATSUBARA
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 23 巻 2 号 p. 21-29

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抄録

アーバスキュラー菌根菌及び非病原性フザリウム菌(NPFO)によるアスパラガス立枯病に対する全身誘導抵抗性及び抗酸化機能変動をsplit root system 法により調査した.菌根菌及びNPFO の単独・複合接種区では地上部・地下部乾物重は対照区より増大し,植物体成長促進効果がみられた.立枯病菌(Fusarium oxysporum f. sp. asparagi)接種4 週間後,発病率・発病程度は菌根菌及びNPFO 処理区で対照区より軽減された.この場合,接種根及び非接種根の両方で耐病性がみられたことから誘導抵抗性が確認された.また,抗酸化機能(SOD 活性,DPPH ラジカル捕捉能,総ポリフェノール・アスコルビン酸含量)は,菌根菌及びNPFOの接種根及び非接種根で地上部・地下部とも対照区より立枯病菌接種前後で増大する場合が多かった.これらの結果から,アーバスキュラー菌根菌及び非病原性フザリウム菌によるアスパラガス立枯病の全身誘導抵抗性が確認され,生物的防除に利用できる可能性が示唆されるとともに,抗酸化機能が全身誘導抵抗性に関連することが示された.

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© 2016 農業生産技術管理学会
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