2010 年 16 巻 2 号 p. 69-74
地方を支える第一次産業は、人間の生命・生活基盤を支える重要な産業であるにもかかわらず軽視され、第二次・第三次産業重視の政策から高度成長時代の経済発展の陰に隠れてきた側面がある。経済の高度成長は日本に経済大国といわれる世界第2位の地位をもたらした。しかし今後はBRICs、VISTAがこの地位を脅かすだろうし、国内の少子高齢化社会の到来も確実視されている。2006年小泉内閣は『新経済成長戦略』を策定し、人材の有効活用を目指し、国際産業戦略と地域活性化戦略を志向した。地域活性化に関する議論は「自考」「自立」「自主」の方向で進み、「平成の大合併」も進んでいる。財政危機に加え企業誘致も望み薄の地方経済は、新産業を活性化させるシステムを構築しなければならない。本稿では、地域の農業ビジネスをタイプ別に取り上げ、課題と方向性を考察したい。