本稿の目的は,中国プラズマテレビ市場における日本企業の製品戦略を解明することである。分析では,日本,韓国,中国の各国企業が中国市場に投入しているプラズマテレビの製品仕様と製品価格を比較分析することにより,日本企業の製品戦略を解明した。分析の結果,画質を表す指標のひとつである画素数と製品価格に注目すると,中国市場において,日本,韓国,中国の各企業は特徴的な製品ラインナップを展開していた。なかでも日本企業は,高画質,高価格の製品を中心として市場へ投入しており,中国市場のなかでも顧客数の最も多い市場のボリュームゾーンではなく,主に高所得者層を対象とした製品戦略をとっていることが明らかとなった。