2011 年 18 巻 1 号 p. 13-20
少品種大量生産では,作業者は単一製品を連続的に繰り返し生産する単能工が一般的である。しかし,多様化時代と共に経済不況に陥った21世紀においては多品種少量生産がものづくりの主流をなし,作業者は複数の製品を生産する多能工が求められるようになった。その結果,作業者は数種類の異なる作業を担当するようになり,その作業も品種の切り替えによって何度も中断が余儀なくされるようになった。
そこで本研究では,異なる性質の作業として身体労働作業と知的・知覚労働作業に対して,中断期間の長さと作業習熟の評価実験を行った。その結果,身体労働作業においては中断期間による影響は認められなかったが,知的・知覚労働作業では中断期間の長さに応じて習熟特性に影響を及ぼすことがわかった。さらに,これらの結果から,中断習熟の関係を定量的に評価することができる中断習熟評価モデルを提示した。