生産管理
Online ISSN : 2186-6120
Print ISSN : 1341-528X
18 巻, 1 号
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巻頭言
目次
研究論文Ⓡ
  • ―試飲したコーヒーと普段飲用するコーヒーとの選択行為の違い―
    圓尾 修三, 後藤 昌英, 花村 和男, 広瀬 幸雄
    2011 年18 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    嗜好品はその嗜好性について一般に心理的影響が大きいと考えられる。しかしながら嗜好品の中でも食品・飲料に関しては生理的因子が嗜好に対する基本的な要因となり,さらにそこに混在する心理的因子が影響を与えると考えられる。嗜好性食品・飲料の因子解析と影響度の定量的な把握が実現できれば,商品開発や生産管理的観点から非常に有効である。本研究ではコーヒーの嗜好性について心理的および生理的因子を解析し,その定量評価を試みた。本論文では,試飲として提供された1杯のコーヒーを飲んだ時の嗜好性と普段飲用するコーヒーの嗜好性について,その回答の違いと特徴を考察した。結果として試飲コーヒー飲用時の嗜好性は、試飲時の心理的要因にも左右されるが,主にコーヒー豆の持つ特徴を美味しいと感じ,それは普段飲用する嗜好性とは異なることが確認された。

  • -熟練技能の習得を目指した作業習熟に関する研究(第2報)-
    山田 裕昭, 福田 康明, 小竹 暢隆, 堀越哲美
    2011 年18 巻1 号 p. 13-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    少品種大量生産では,作業者は単一製品を連続的に繰り返し生産する単能工が一般的である。しかし,多様化時代と共に経済不況に陥った21世紀においては多品種少量生産がものづくりの主流をなし,作業者は複数の製品を生産する多能工が求められるようになった。その結果,作業者は数種類の異なる作業を担当するようになり,その作業も品種の切り替えによって何度も中断が余儀なくされるようになった。

    そこで本研究では,異なる性質の作業として身体労働作業と知的・知覚労働作業に対して,中断期間の長さと作業習熟の評価実験を行った。その結果,身体労働作業においては中断期間による影響は認められなかったが,知的・知覚労働作業では中断期間の長さに応じて習熟特性に影響を及ぼすことがわかった。さらに,これらの結果から,中断習熟の関係を定量的に評価することができる中断習熟評価モデルを提示した。

  • 早川 優輝, 福田 康明
    2011 年18 巻1 号 p. 21-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    近年の製造業では生産の自動化,高度化,高効率化が進み,設備の稼動状態により製品の品質,コスト,納期が大きく左右される。したがって,設備を優れた加工条件で稼働させないと,生産性が低下するのみでなく,不良品までも作り出し,企業に損失が発生する。よって,設備の問題点を正確に把握し,改善することが重要である。しかし,加工の複雑化や安全ガード等によって,利益を生み出す源であると同時にロスを発生する根源でもある加工点を可視化することは困難になっている。また,加工を行う設備の加工条件は現場の暗黙知によるところが大きい。そこで本研究では,立型旋盤を実験対象とし,その主軸回転数と送り量を加工条件として,多機能モータセンサによる加工点の可視化を行って,各条件での累積電力と累積振動を評価パラメータとして「優れた加工条件」を探索した。これにより,加工点の可視化による加工条件の評価の有効性について,実験上,検証できた。

研究論文
  • ―乗用車を中心に―
    伊藤 賢次
    2011 年18 巻1 号 p. 29-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    2008年の「リーマン・ショック」以降の世界経済は,BRICsに代表される新興国市場が牽引しているが,それは企業経営のあり方において大きな転換を迫っている。自動車産業における典型的な成功例が,新興国市場を主体とする「世界戦略車」であると位置付ける。その先駆けは,2004年に登場したトヨタの「IMV」(多目的世界戦略車)である。IMVは商用車であったが,乗用車としての初の「世界戦略車」が,2010年春に日産から上梓された新型「マーチ(マイクラ)」であり,世界レベルで成功を続けている。今後の中心は乗用車の世界戦略車である。

    本稿では,こうした日本企業の新しい流れである乗用車の「世界戦略車」を取り上げて,その意義を明らかにするとともに,その特質と課題について論じる。それは日本企業の「グローバル経営」の具体的な姿を明らかにする作業でもある。

  • EIKO NIKI, YASUO UCHIDA, ATSUSHI KOIGAWACHI, MICHIKO FUJII
    2011 年18 巻1 号 p. 35-41
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    A Being able smoothly to operate a keyboard, the means of input for learning computer technologies, enables learners to concentrate on thinking. While classes on computing are conducted in secondary education, students' degrees of mastery of keyboard operation vary. At Ube National College of Technology, few students have mastered touch-typing by the time they enter the program, and students need to familiarize themselves with the technique soon after entering. Web-based typing software has been developed, which students are asked to use for self-learning. The system is being improved by using learning history in typing practice to verify key accuracy and reflecting the results in development of software for practicing typing[1][2].

  • 流通業におけるIT活用度を利用した業務改善手法
    城 順平, 宮崎 茂次
    2011 年18 巻1 号 p. 42-48
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    本研究ではIT の投資効果を,企業が導入したIT 投資金額からではなく,企業の中で日々実践されている日常業務のIT の活用度を対象としている。我々が行った先行研究では,IT の活用度と生産性には相関関係があり,IT 活用度はIT 投資効果に影響を与える「変数」のひとつであることが確認されている。本論文では,我々がこれまでに実施してきたIT 活用度に関する研究を踏まえて,分析業務で利用するIT の活用度と経営指標の関係性を考察し,IT 活用度を利用した業務改善手法を検証する。

  • 邵 忠
    2011 年18 巻1 号 p. 49-54
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    前稿[1]では、円高を背景に生産拠点を海外に移転したグローバル生産及びその現地生産と経営への日本的生産システムの適用と適応の諸問題点を指摘し、「融合型生産システム」という新しい発想への転換の必要性を提示した。本稿では、人を資源と見なす「人的資源論」の視点から、在中日系中小企業のグローバル人的資源管理の現状について、文献調査と現地調査を通じて把握し、海外生産拠点志向から現地市場志向への戦略転換に直面する日系中小企業の人的資源管理の問題点を明らかにしたうえで、企業の現地化、即ち経営の現地化、「ヒト」の現地化課題と融合型グローバル人的資源管理の方向性を探る。

  • 伊藤 孝夫, 唐 安陽, 松野 成悟, 滝田 嶺, 坂本 眞人
    2011 年18 巻1 号 p. 55-60
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    企業系列は継続的合理性をもつ有効な組織形態の1 つであるといわれている。このような組織形態の形成とその構成メンバーの合理的な関係の解明は経営戦略の策定において重要な課題の1つである。いままでの多くの研究は、歴史的原因や経営資源の相互依存などの角度から系列企業を解明してきた。近年、コンピュータ技術と数理モデルの発達によって、複雑と思われる企業間関係の定量分析も発表されるようになった。本研究では、マツダ完成車メーカーの系列企業である洋光会をとりあげ、1981 年度から2005 年度までの企業間の取引と持ち株のデータを収集し、洋光会における安定性と影響力を測定するとともに、安定性指標と影響力指標の傾向的変化を分析した。また、これらの計算結果とマツダの経営成果である売上高と利益との関連を分析することにより、企業の経営成功要因を明示することができた。本研究は、合理的な企業間関係を解明するために、安定性指標と影響力指標という斬新な分析方法を提唱し、企業系列の組織構造の構築に有益な知見を提供したものである。

  • 伊藤 孝夫, 唐 安陽, 松野 成悟, 滝田 嶺, 坂本 眞人
    2011 年18 巻1 号 p. 61-66
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    企業の経営成果に影響を与える要因は基本的に内部資源の配分と外部環境への適応の二つに分けられる。本研究は、企業の外部環境の一部である企業間関係を取り上げ、同一グループにおける合理的な企業間関係の解明を目的としている。具体的には、マツダの企業系列を取り上げる。ほかの完成車メーカーと同様に、マツダは部品サプライヤー協力会である洋光会を組織している。このような協力会は企業系列と呼ばれ、日本自動車産業の強みの1 つであるといわれている。企業系列における合理的企業間関係を解明するために、1981 年度から2005 年度までの取引データと持株データを収集し、洋光会全体のグループ中心度指標(group centrality index)を計算し、その変化を分析した。また、グループ中心度指標と企業の経営成果(企業の売上高と利益)の関連をも測定し、企業経営の成功要因の析出に成功した。本研究は、合理的な企業間関係を解明するためにグループ中心状況という斬新な分析角度から新たな成果を提供したものであるといえよう。

  • 多田 和美
    2011 年18 巻1 号 p. 67-75
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿は,研究課題を踏まえ,内外環境要因の各構成要素とその相互作用が,海外子会社の製品開発活動がグローバルな成果を生成するまでのプロセスに及ぼす影響を分析したものである。日本コカ・コーラ社と日本ペプシコ社の比較分析の結果,①各構成要素とその相互作用が製品開発活動と成果に及ぼす多様な影響,②外部環境重視型から内外環境重視型へ移行する製品開発活動の重要性,③成果生成を最大化するために重要な役割を果たす構成要素とその関係のあり方などが明らかになった。

  • 中野 真, 石井 和克
    2011 年18 巻1 号 p. 76-81
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    北陸地域では優れた個別受注生産や変種変量生産形態の下で,ものづくりが行われており,品質,原価および納期管理技術を継承,発展させるため,金沢工業大学情報マネジメント研究所では,平成17 年度より,北陸地域の製造業の工程管理ノウハウを基にした教育プログラムを研究・開発してきた。本稿では,上記の成果を地域に還元すべく,次代を担う中核技術者の育成支援を目的として金沢工業大学の製造中核人材の育成として実施している工程管理者育成プログラムについて報告する。

  • 岩本 隆志
    2011 年18 巻1 号 p. 82-87
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    2011年現在,過疎地域における医師不足は深刻であり,いまだ抜本的解決策が見いだせない状況である。また,ICT市場に目を向けると,スマートフオン市場が賑やかになってきている。日本大手キヤリTDOCOMO•AU•SOFTBANKによると,来年度売上見通しが昨年度比10倍以上になるといった予測が立てられている。俄に信じがたい予測ではあるが,経済の閉塞感が漂う日本において唯一無二の発展分野であると考えられる。本研究では,過疎地域における医師不足の改善策として,業務簡素化に着目,最新ICT技術であるスマートフォンを適用し,実証実験を行うことによる問題点抽出と今後の可能性を見出すことを目的とする。

  • ―ヱビスの事例を中心として―
    大﨑 孝徳
    2011 年18 巻1 号 p. 88-93
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    プレミアム・ビール市場には,これまでキリンビールやアサヒビールといったリーダー企業からも商品が投入されてきたが,大きな成功を収めることができていない。こうした市場において,サッポロビールの“ヱビス”は長きにわたり,好調を維持している。本論文では,“ヱビス”の成功について,プレミアムの創造および価値の継続の視点より,分析する。とりわけ,ヱビス”の製品開発,マーケティング戦略,エクステンション戦略に注目していく。

  • 加藤 靖慶
    2011 年18 巻1 号 p. 94-100
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    今や現場リーダーは、わが国製造業の現場業務で高いクオリティを維持していくために欠かせない存在として、大企業中心に復活の兆しを見ている。一時は組織のフラット化によって影の存在となった現場リーダーも、高い品質、コストダウンに対する日常活動の維持、クライアントへの納期順守など主要業務のキーマンとして脚光を浴びている。現場リーダーは経営方針に従い、所属長の指揮のもとに経験と技術・技能を生かし、ライン部門や専門分野における現場第一線のキーマンとして、担当業務を指揮し実施する能力をもつよう期待されている。

    ここでは、リーダーとしての持つべき顔から提案を始め、リーダーに求められる3つの基礎能力、仕事の管理能力、仕事の効率性・能率性、安定性のための方策や、部下育成のポイント等についてまとめていきたい。

    部下育成については、OJTの進め方の基本を提案し、その後部下育成に必要なことや、部下動機づけの基本、発奮させるほめ方・叱り方を考察し、最後にはリーダーシップの基本とスキルで締めくくっていきたい。現場リーダーは現場業務のプロであるが、人材育成、特に部下育成については無関心とはいわないけれども関心の薄い人が散見されるのでその点につては啓発を促したい。日本のものづくりの原点は、人づくりにあるからである。

  • 石井 成美, 近藤 高司
    2011 年18 巻1 号 p. 101-106
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    近年,地球環境の変化が進んでおり,わが国においても気候の変化が生態系や農業のみならず,生活者にも影響を及ぼす事態となっている。このような状況下において,サステイブル(膽可能)な社会を実現するためには地球環境問題への対応が必要であり,各産業分野にその取組みが進展しているが,厳しい経営環境下においての実行は容易でない。

    企業•従業員の一人ひとりのアクションが日本の食料問題や環境問題につながっている実感を持ち,環境配慮型のサステイナブル経営を戦略的に意識することが有効な施策であると考える。

    エコ意識啓発活動として実際に行った2つの持続可能なエコ意識啓発活動事例より,飲食店におけるサステイナブル経営について考察する。

  • ーシミュレーション機能について一
    水岡 研二, 古賀 雅伸
    2011 年18 巻1 号 p. 107-112
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    ソフトウェア開発は,開発工期が短く,要求仕様の変更や追加が頻繁に発生し,新技術の登場も非常に早いという特徴がある。この環境下での生産性や保守性を改善する対策として,生産実行システムに UML(Unified Modeling Language)を使ったMDA開発が適用可能であることを検討口],MDA (ModelD riven Architecture)開発におけるコード自動生成対策として,スケルトンコードの自動化による開発が可能であることを検証した⑵。また,生産性や品質の向上を狙って,上記開発手法における生産実行システムの再利用ドキュメント自動生成機能,及びシミュレーションによる開発ソフトウェア支援ツールについて検証した[3]。本論分では,シミュレーシヨン機能に限定した支援と再利用化について,詳細検討した結果とそのメリットを報告する。

  • 白石 一洋, 郷 保直
    2011 年18 巻1 号 p. 113-119
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    電子情報技術産業協会(JEITA)において標準化を進めた設計プロセス評価モデル(DPAM:Design Process Assessment and improvement Model)は、自らのプロセスの強み弱みを把握し、改革・改善への気付きがえられるモデルである。

    後述では、アーキテクチャーとして、体系詳細と改善要素、評価方法を中心に解説する。

  • ―システムダイナミックスモデルによる考察―
    小川 貴史
    2011 年18 巻1 号 p. 120-125
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    DRAM(Dynamic Random Access Memory)市場の周期的変動に対する定性的考察は古くから報告されている。しかしながら,その変動と生産サイドの対応の変化を考察した研究は少ない。本研究では,周期的な世代シフトを伴うDRAM需要に対して,生産サイドの対応の変化をシステムダイナミックスによるシミュレーション結果から検討した。実績データとのフィッティングにより最適化されたモデルパラメーターの世代変化を検討した結果,DRAM市場の周期変動の要因は,世代推移とともにその影響度を減少させてゆく傾向にあるものと考察される。

  • 佐武 弘章
    2011 年18 巻1 号 p. 126-131
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    ゴーン改革は単なるコスト削減ではなく、「限りない顧客への同期化」と「限りない課題の顕在化と改革」という企業ビジョンから体系的に導き出された改善活動の成果であった。これら改善活動の基礎部分は、同社独自の「日産プロダションウェイ」(NPW)にあり、「順序遵守生産」と特徴づけることができる。本報告では最近刊行の書『日産プロダションウェイ――もう一つのものづくり革命――』の基本的な発想を紹介する。生産方式は言葉では表現できない要因を含むと言われているが、日産は言葉と理屈で説明できる範囲をNPWとみなして、生活習慣の異なる内外の32工場で同時に並行してNPWを推進している。

  • ―授業の実践―
    早川 周, 杉本 和夫, 大澤 美紀, 澤田 善次郎
    2011 年18 巻1 号 p. 132-137
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    大学は入口の入学者・志願者の環境では少子高齢化による入学志願者の減少,大学数の増加による競争激化に直面しており,出口の卒業・就職の環境では新規学卒者採用市場の縮小と労働市場の就業構造の変化に直面している。平成22年(2010年)2月の大学設置基準改正により,大学におけるキャリア教育を義務化する主旨の規定が平成23年4月より施行されている。その他,大学改革を目的とする文部科学省の諸政策により, 学士力の質的向上, 就業力育成支援が各大学でなされている。

    我々は平成22年度に本学会で「キャリアアップ研究会」を設置し,大学学部生を対象としたキャリアアップ教育のカリキュラムと教材を開発した。平成23年度には授業の実践を行うとともに,任意の研究会として継続している。本稿は授業の実践報告である。

  • 藤井 春雄
    2011 年18 巻1 号 p. 138-144
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    IMD(スイスの世界的ビジネススクー ル)が2011 年5 月に発表した世界競争力ランキング によると、日本は昨年の27 位からワンランク上げて 26 位になったものの、調査開始の1989-93 年の1 位 から下降低迷したまま(表3 参照)。

    カイゼンと効率化により日本の製造業の労働生産性は高いが、その他、サービス業などの労働生産性 が低いため、全体評価を下げている。

    では、なぜ製造業以外は労働生産性が低いのだろうか? 生産性を上げるポイントは何だろうか?

    そこで、この論文ではとくに近年注目されて来ている6次産業に的を絞り考察を加えてみた。

    現在、国が力を注ぐ6次産業[1次産業(農林水産業)、2次産業(製造業)、3次産業(販売・サービス業)]は、着眼やアイディアによって無限の可能性を持っている。従来の衰退産業が、アイディアひとつで繁栄産業に変わった事例なども含め、日本の食と農を中心に生産管理手法がどの程度活用されているのか、また可能性があるのかについてまとめた。

  • ―日米業務マニュアル比較と暗黙知―
    増澤 洋一
    2011 年18 巻1 号 p. 145-154
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    ものづくりと国際化における組織知について、まず日米の業務マニュアルの実態・用途を比較した。その結果、形式知を重視する構造化された米国型は業務・システム分析に有効である一方、暗黙知を重視する日本型のマニュアルは情報共有の柔軟性・容易性、それにともなう人間性の涵養などに優れることがわかった。次に暗黙知の形成・伝達について理論と実践の両面にわたって考察し、改善について示唆した。こうした比較検討によって国際化に直面する日本企業の組織知の深耕に資することができた。

  • ―日英自然言語‐モデリング言語変換と暗黙知―
    増澤 洋一
    2011 年18 巻1 号 p. 155-164
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    構造化された米国式業務マニュアルは厳密な記述を行うため、システムモデリング言語に容易に変換され、情報システム(プログラミング言語)構築にスムーズに接続する。これが国際標準である。

    一方日本語はシステムモデリング言語に馴染まない。この問題を格文法理論の援用により解決し、国際化に資するシステム設計手法を提案する。

    さらに我国の企業文化は暗黙知が前提で、業務手順を明示化しない。これについて、日本型業務特有の言語使用(メタファーの多用、中断節の頻出)を活用し、暗黙知の抽出に役立て得る方策を考察した。

  • ―雇用の流動性確保という側面からCSR の対応を考える―
    楓 森博
    2011 年18 巻1 号 p. 165-170
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    企業が社会的存在であることは,現実の社会が,健全,かつ調和的な発展を遂げるために企業が社会の構成員として相応の役割を担うことを意味する。これまでCSRに関するさまざまな研究が行われてきたが,その主な目的は企業の果たすべき役割の範囲と内容を明らかにするためのものであったと考えられる。またCSRへの取り組みを検証することで,企業価値を評価する尺度としてCSRが機能し,変動する社会全体の価値観の中で企業責任の内容も変化することが明確になるであろう。

    本稿では,現段階でのCSRの機能を先行研究の成果を踏まえて把握し,将来的に必要とされる視座を積極的に得ることを目的とする。その一つとしてCSRの取り組み自体を,企業活動の背景をなす重要な要素と捉え,企業における人材の有効活用の側面から各企業間の人材移行を容易にする条件としてCSRが機能する可能性について考察した。

  • 宗平 順己
    2011 年18 巻1 号 p. 171-177
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    多くの製造業がグローバル展開しているが,グローバル経営の成熟度が高まるに従って,グローバルでの統一オペレーションとローカルオペレーションとのバランスのとれたマネジメントが求められるようになる。

    その重要な成功要因として,適切なKPIを設定することがあげられる。「適切」には「意味がある」ということと「測定できる」という2つの意味がある。この命題に対し,BSCとSaaSアプリケーションを用いたKPIモデルの構築方法についてトライアルし,一定の成果を得られたので,その結果を報告する。

  • -自律型製造装置モデルによる利益最大化を考慮した生産効率化の一提案-
    柏原 秀明, 宮崎 茂次
    2011 年18 巻1 号 p. 178-183
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    自律型ジョブ管理装置モデルと複数の自律型印刷装置(システム)モデルとを用いて,印刷スケジュール制約下で選択的にジョブ抽出を行う“ジヨブの個別利益優先順”およびジョブの印刷開始時刻優先順”の2磔の総利益最大化バックワード•フオワード•スケジューリング法による^^リ益最大化の比較と評価を行う。また,適用例としてオンデマンド印刷システムをモデルとして用いる。

  • 上田 文人
    2011 年18 巻1 号 p. 184-189
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    東日本大震災での福島原発事故、浜岡原発停止、玄海原発やらせ問題と電力供給先が電力を安全に供給できない状況になっている。震災直後「計画停電」を経験し、さらなる需要者の協力を得るために天気予報ならぬ「でんき予報」なるものもあらわれた。つまり、原発による発電ができないため、各需要者のより一層の節電・省エネの取組みが必要となっている。また、平成20年省エネ法改正により、事業者単位のエネルギー管理を義務付けられてもいる。東北・東京電力管内では大口需要家に電力制限令がだされ、違反すると罰金となる厳しい電力管理が求められている。

    こうした状況下での電力管理について、大学の取組みについて報告する。

  • 石島 隆
    2011 年18 巻1 号 p. 190-195
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿においては,国際会計基準(International Financial Reporting Standards,以下「IFRS」という。)におけるリース会計基準の公開草案(以下「リース公開草案」という。)の内容を概観し,その後の暫定合意の内容と経営管理との関連について検討した。

    リース公開草案は,管理会計的思考が強く,将来の不確実な事象を見積もらなければならない事項や財務諸表を作成する企業に過大な作業負担を強いる事項が多くあったため,財務報告目的の会計基準としては無理があり,産業界の反発を招いた。

    財務会計には,情報の信頼性や検証可能性の確保という制約条件があり,新たなIFRSを設定する際には,管理会計的思考と財務会計的思考のバランスをとることが必要である。一方で,リース公開草案は,企業の経営管理の改善・強化に資するための示唆を与えている。

    最近の暫定合意により,新たなリース会計基準は,財務会計の面からは現実的な内容になりつつある。また,再公開草案の内容は,今後の日本基準の改訂にも影響を与える。再公開草案の内容を十分に吟味するとともに,この度の議論を経営管理の観点から再評価することが必要である。

  • 津田 博
    2011 年18 巻1 号 p. 196-202
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    自治体の情報システムの運用や利用に関する懸念事項に外字処理の問題がある。外字処理の問題とは、自治体ごとに新たな文字を外字として登録することによって生ずる問題である。外字の増殖により管理を複雑にし、運用コストを要し、あるいは住民にとって本人確認に支障が生じる可能性がある。

    こうした状況の中、経済産業省では、総務省や法務省で編成した文字セットを横断的に整理し、あるいは必要な文字を追加した文字情報基盤の構築に向けて取り組んでいる。

    本稿では、外字発生の背景や外字作成の現状をレビューしたうえで外字にまつわる問題を明らかにする。そして、文字情報基盤の成果物利用による外字処理の問題解決に向けた提言を行う。

  • 澤田 善次郎
    2011 年18 巻1 号 p. 203-208
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    大学生の就職問題は,いまや最大の社会問題となりつつある。雇用のミスマッチは,極限状況に達しているように見えるが,冷静に考えれば,落着くところに落着くであろう。

    生きがいや働きがいは,身近で健全で日常的な生活の中にあるからである。

    ここでは,「学外協力者の確保と活用」によって大学の教育・研究を身近な所から小さな工夫・改善をすることにより,大きな改革・大改善の動きに継げる運動の展開を提唱している。

    大学の社会的責任を再確認し果すことによって,所属する大学の発展を,ひいては日本の大学の改革が一歩でも進むことを願うものである。

  • (OS PACHINKO P型を用い管理図及びパレート図の検討)
    奥村 士郎
    2011 年18 巻1 号 p. 209-214
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    旧式パチンコ機を用い適合品、不適合品を取り扱って、管理図やパレート図などを習得するための実験器具である(図1参照)。従って、データは計数値として扱う。なお、前半(30分)は本文の説明を行い、後半(30分)はこの実験•実習を行う。実験方法は付表で述べる。

  • 久保田 勝広
    2011 年18 巻1 号 p. 215-221
    発行日: 2011年
    公開日: 2025/06/08
    ジャーナル フリー

    2010 年11 月に発行された社会的責任に関する国際規格ISO26000は,認証を目的としないガイダンス文書であり,社会的責任の遂行は各組織の自主性にまかされている。それゆえISO26000には,取り組みの自由度が高い反面,取り組む側の姿勢や判断力が問われる難しさもある。また,ISO26000の潜在的ユーザーとして普及に期待が寄せられている中小企業の社会的責任の実践においては,経営者の意識や価値観が原動力となっている。

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