企業の経営成果に影響を与える要因は基本的に内部資源の配分と外部環境への適応の二つに分けられる。本研究は、企業の外部環境の一部である企業間関係を取り上げ、同一グループにおける合理的な企業間関係の解明を目的としている。具体的には、マツダの企業系列を取り上げる。ほかの完成車メーカーと同様に、マツダは部品サプライヤー協力会である洋光会を組織している。このような協力会は企業系列と呼ばれ、日本自動車産業の強みの1 つであるといわれている。企業系列における合理的企業間関係を解明するために、1981 年度から2005 年度までの取引データと持株データを収集し、洋光会全体のグループ中心度指標(group centrality index)を計算し、その変化を分析した。また、グループ中心度指標と企業の経営成果(企業の売上高と利益)の関連をも測定し、企業経営の成功要因の析出に成功した。本研究は、合理的な企業間関係を解明するためにグループ中心状況という斬新な分析角度から新たな成果を提供したものであるといえよう。