近年,バイオテクノロジー市場において,大学からのスピンアウト起業が相次いでいる。その中で,材料工学を基盤とする企業も参入し,イノベーションの一端を担っている。本研究では,これら材料工学を基盤とする大学発ベンチャーに着目し,バイオビジネス参入の成功要因の抽出を目的とした。新興証券市場に上場した2つのベンチャー事例を調査し,考察を行った。その結果,1 )材料工学と生命科学に精通した研究者,2 )潜在的な技術価値と市場ニーズを結びつけることができる起業家,3 )シーズの認知度と信頼性の向上,4 )生産技術を有する既存企業との提携の4要因を抽出した。