2012 年 18 巻 2 号 p. 11-16
グリーンSCMとは,製品のライフサイクル全般を通じた環境負荷の低減や環境の保全に関する企業間連携の取組みをさす。グリーンSCMは従来のSCMが主眼としていたサプライチェーン全体の経済パフォーマンスの追求に加えて,環境パフォーマンスとの両立を図ろうとするものである。しかしながら,グリーンSCMの実施が企業パフォーマンスに与える影響の検討や競争優位の構築・維持に対する有効性の吟味など,解明すべき課題は多い。本研究では,われわれが独自に実施した質問票調査にもとづいて,企業におけるグリーンSCMの取組みとパフォーマンスとの関連について探索的な分析を行った。具体的には,国内企業におけるグリーンSCMの実施状況に関する分析をふまえ,グリーンSCMのパフォーマンスに影響を与える要因に関する共分散構造モデルを提示した。簡易的なパス解析の結果では,この因果モデルは概ね支持されたといえる。