2015 年 21 巻 2 号 p. 53-58
ITの利用目的を「自動化と省力」や「合理化と標準化」に限定してしまうと,現在の発達したITを有効に活用できなくなる懸念がある.1970年代から1980年代に提唱された国際標準に沿って,ITの利用目的を変えていく必要がある.本稿では,最初にITの利用目的を「自動化と省力」,「合理化と標準化」に限定することによって発生する諸問題を示す.次に,製造ビジネスが3つの目的のためにITを利用するべきであると提案する.第一は,ビジネスの事実をあるがままに捉えること,第二は,意思疎通を支援すること,最終的な目的は,価値創造である.さらに3つの目的の具体的な実現手段として,製造ビジネスを支える新しい情報システムを構築する必要性について,筆者等が開発したマスターデータ管理エンジンや生産シミュレータを用いた事例を交えながら説明する.