企業において従業員の健康を考えることは生産性を向上させるうえで重要な要因と考えられる.さらに,企業戦士として活動するためには,彼らの体力を無視することはできない.しかし,企業において実際に体力測定等の実施は様々な問題が有り難しい.よって,簡易に測定できる体格と身体組成のデータを用いた身体組成バランスから,体力の特徴が推測できないか.そこで本研究は,体格と身体組成を用いた身体組成バランスによって分けられたグループにおいて体力に差があるか,またグループ間で,中学高校までの生活習慣の一部である運動部活動の経験に差があるのかを比較検討することを目的とした.対象は芸術系大学に通う女子大学生1,003人であり,身長,体重,体脂肪率を測定し,体力は背筋力,上体起こし,垂直跳び,20mシャトルラン,握力を測定した.身長・体重からBMIを算出し,BMIに対する体脂肪率の最小近似多項式から構築される評価チャートと,BMIの平均値による評価から身体組成バランスを作成し9群に分類する.そして,体力の特徴を比較するために群間における差を,分散分析と多重比較を併用して検討する.さらに群間における中学校・高校での運動部活動経験に差があるのかχ2検定を行うことで身体組成バランスから体力の推測の妥当性を検討するものである.