2023 年 30 巻 2 号 p. 103-110
IoTやビッグデータ,ロボット,VR等の技術を活用しながら,家庭での生活(家事・育児等)における作業の効率化と生活の質(QOL)と労働生活の質(QWL)を向上させて,ウェルビーイングなワーク・ライフ・バランス(WLB)実現を支援するために,多様な支援方法を提示可能なモデルの構築を試みている.本研究では,そのひとつの方法として,コストマネジメントの視点を取り入れた負担を評価するモデルの提案を目的として,日本における無償労働の時間当たり賃金に該当する経済的評価およびWLBの状態を定量的に捉えるモデルである貸借対照表を援用したワーク・ライフ・バランス・シート(WLBS)について考察した.無償労働の貨幣評価額は,「一人当たり無償労働の投入時間」に「1時間当たり賃金該当額」を乗じて算出されることから,「一人当たり無償労働の投入時間」については,不足時間を区分掲記したWLBSにより算定し,「1時間当たり賃金該当額」については,「代替費用法ジェネラリストアプローチ」により算定して乗じる新たなモデルを提示した.